-
それがやさしさじゃ困る / 鳥羽和久(文)、植本一子(写真)(赤々舎)
¥1,980
子どもが自分でつかむまで! 大人が「わかったふり」をやめると、対話がはじまる。焦らず、 断ち切らず、観察しつづけるための視点──。学び・進路・日常相談と一年の日記から、関係がほどける瞬間を見つめる教育エッセイ。 『それがやさしさじゃ困る』は、子どもに向けられる「善意」や「配慮」が、時に子どもの心を傷つけ、主体性を奪ってしまうという逆説を、教育現場の最前線で20年以上子どもと向き合ってきた著者・鳥羽和久さんが鋭く描き出す一冊です。 「失敗させまい」「傷つけまい」という大人の"先回り"が、実は子どもの可能性を閉ざしてしまう──。本書では「学校」「親と子」「勉強」「受験」といったテーマを軸に、現代教育の盲点と私たち大人が抱える不安の影を浮かび上がらせます。単なる批判にとどまらず、大人の葛藤や弱さへの眼差しがこめられているからこそ、その言葉は深く胸に響きます。 さらに本書を特別なものにしているのは、ページ下部に並走する一年間の日記の存在です。そこには、卒業生との忘れられない一瞬や、親子の関わりの奥に潜む無自覚な"デリカシーのなさ"への気づきなど、教育の現場で生まれた生の思索が断片的に綴られています。論として伝えられるエッセイと、濾過されない日々の記録が呼応し合い、本書は単なる教育論を超えた、立体的で豊かな手触りを届けてくれます。 解決策を提示する本ではありません。むしろ「間違うこと」「揺れ動くこと」を恐れず、子どもを信じて共に歩むことの大切さを、本書は静かに指し示しています。大人として迷い続ける私たちに寄り添い、伴走してくれる一冊です。 そして本書には、写真家・植本一子さんが鳥羽さんの教室やその周辺で撮り下ろした写真が栞のように差し挟まれています。子どもたちの表情や存在は、エッセイや日記で綴られる思索に呼応し、本書を照らし、「いま、ここ」の空気を手渡してくれるでしょう。
-
オフショア 第五号 特集「音楽の聴き方について考える」
¥2,200
『オフショア』はエッセイを中心としたアンソロジー形式の文芸雑誌です。アジアの音楽やアートの情報を発信するウェブマガジン「Offshore」(2011~)が、紙の文芸雑誌となってリニューアルしました。2022年8月創刊。速い情報発信ではなく、「やすい」や「おいしい」でもないアジア。じっくりアジアを考えます。 第五号では、初めて特集を設けてみました。題して「音楽の聴き方について考える」。音楽とアイデンティティ、音楽と“政治”、音楽とアジア表象――。これまでで最も多様な視点を盛り込み、かつ重層的な号となりました。 ■特集「音楽の聴き方について考える」 ・女のインドネシア・ポップス(武部 洋子) ・タイポップと真剣に向き合ったらダイナミック琉球にぶち当たった(DJ 817) ・インドネシアのジャズを聴く会ドキュメント[於:実験的談話室 主水 MONDO](佐藤 マタ) ・中華世界へのまなざし―台湾で撮影されたミュージックビデオを観る(長嶺 亮子・山本 佳奈子) ■生徒として、教員として―とある美術部の歴史とはなし(金 潤実) ■BARよなき2024年業務日誌[抄録](よなき) ■台湾における市民による地下メディア実践と民主化との関係―1990年代の台湾の地下ラジオ運動を軸として「メディアづくりを通じた市民意識の醸成とは」(和田 敬) ■ザイ・クーニンの表現にみるアイデンティティ―血、海、家(齊藤 聡) ■自炊アナキズム(高岡 大祐) ■私の弘大漂流記(清水 博之) ■消費主義的アジアンカルチャーから足もとのアジアへ(山本 佳奈子) 表紙写真:イラスト:petechen ロゴ・表紙デザイン:三宅 彩 @miyakeaya 四六判・並製本・288ページ・モノクロ
-
大切なことはDIVAが教えてくれた ゲイの僕が家族やミソジニーと向き合うまで / 富岡すばる(青弓社)
¥2,200
マドンナや浜崎あゆみ、テイラー・スウィフトほか、差別に抗い、音楽を通して主張しつづけている10人のDIVAの魅力に迫る。彼女たちにエンパワーメントされた経験や、曲を通して気づいたミソジニーやルッキズム、家族の存在についてつづるエッセー集。 もともとオペラ歌手を指し、「わがままな女性」への揶揄としても使われてきた「DIVA」は、近年では女性歌手に敬意をもって使われる言葉へと変化している。本書では、ヒット曲を次々に発表しながら、女性差別や人種差別、LGBTQ差別に抗い、音楽を通して主張しつづけている10人のDIVAを取り上げる。 「大切なことはDIVAが教えてくれた」。「FRaU」や「CINRA」に寄稿する人気ライターが、これまで聴いてきたDIVAの楽曲を紹介しながら、エンパワーメントされた経験をつづり、彼女たちの曲やスピーチを通して気づいたミソジニーやルッキズム、家族の存在について思いを書く。 自己表現を恐れないでと鼓舞するマドンナ、孤独について歌い続ける浜崎あゆみ、「いい子であれ」という抑圧と闘うテイラー・スウィフトほか10人の魅力に迫り、DIVAを追い続けたこれまでを振り返る。音楽とDIVAスピリットに彩られた書き下ろしエッセー集。 目次 まえがき 第1章 ゲイというプライド――マドンナ 自分自身へのカミングアウト 「自分自身を表現して」という言葉 フェミニズムとの出合いと男らしさの呪い LGBTQアクティビズムとの共闘 プライド月間に寄せて 第2章 終わりのない孤独――浜崎あゆみ 孤独を歌うあゆ 「居場所を探して街をさまよう少女たち」のロールモデル 全曲本人作詞によるライフソング セクシュアルマイノリティーへのエンパワーメント 消えない孤独とともに生きること 第3章 血も戸籍もつながっていない家族――ピンク SMバーでみた男女のポジション 身内という存在について考えさせられたコロナ禍 ピンクが見せる2つの「家族」 僕にとっての「家族」というもの 第4章 愛せない容姿を抱えて――ビヨンセ 3回やっても満足できなかった整形 「手術が必要なのは魂のほう」と歌う「Pretty Hurts」 ルッキズムが引き起こす痛み ゲイ男性であることとルッキズム 差別される側から差別する側へ 自分自身に幸せを感じているか 第5章 自分のなかのミソジニ――テイラー・スウィフト 女性のほうが楽に稼げる? 「いい子(Nice girl)」でいること カントリー音楽界の保守性 「ビッチ」という烙印 無意識のミソジニー、捨てられなかったホモフォビア 僕はゲイ差別をするゲイだった 第6章 アイドルへの崇拝と絶望――ブリトニー・スピアーズ 自分を忘れるための「アイドル」 初めて好きになったアイドル、ブリちゃん 同世代のロールモデルとしてのアイドル すべてがエンタメとして「消費」される恐ろしさ アイドルとの同化をやめる 第7章 神様はかつて男性だった――アリアナ・グランデ 「神は女性」というカルチャーショック 「天のお父様」へのお祈り 固定観念へのアンチテーゼ キリスト教とセクシュアルマイノリティーへの抑圧 僕にとっての神様とは 第8章 愛しているけど嫌いという自己矛盾――ホイットニー・ヒューストン 「矛盾している」ことへの恐れ 歌手ホイットニー・ヒューストンが内包する矛盾 彼女は嘘をついていなかった I'm Every Woman――私はあらゆる女性 第9章 愛国心なき者――レディー・ガガ ここに残るための、たった一つの理由 この国に生きるゲイとしての無力感 「日本がいやなら海外に行けばいい」 自分たちにとっての「国歌」 ルールを破ることではなく、自分なりのルールを作ること 第10章 「母」が受けるバッシング――松田聖子 痛みを伴う、自由の体現 アイドルから「スキャンダルの女王」へ キャリアも夢も追いかける母親像 松田聖子と母というDIVAの原風景 プレイリスト あとがき 著者プロフィール 富岡 すばる(トミオカ スバル) 1985年生まれ。ライター。「FRaU」や「CINRA」に音楽・映画などのエンタメおよび、セクシュアリティーや政治についての記事を寄稿している。 Xアカウント:@Lily_to_Rose
-
戦争と芸術の「境界」で語りをひらく 有田・大村・朝鮮と脱植民地化 / 山口祐香、チョン・ユギョン(花束書房)
¥2,200
陶製手榴弾を模した架空の焼き物「大村焼」が刻む歴史と表現――。 若手研究者と現代美術作家による対話、論考、エッセイ、そして抵抗のアート。自由を奪われた人々について言葉を交わし、社会とつながり、考え続けるためのたしかな試み。 有田焼がうまれた400年前から現在まで繰り返された戦争と移動、排外主義を考えるために、さまざまな歴史課題を問い直しながら、差別と忘却に抗う言葉を記録する。 [まえがき]「場違い」な私たち――朝鮮と日本をめぐる境界の歴史 チョン・ユギョン 第1章 「大村収容所」から「大村焼」まで 山口祐香 第2章 〈大村焼〉シリーズ/ドットシリーズ/KKWANG!シリーズ 作品解説 チョン・ユギョン 第3章 [対談]ローカルからとらえなおす「戦争と芸術」 第4章 B面の日韓越境史 山口祐香 第5章 [対談]「境界線」でぶつかる音を表現し、語る 第6章 牛歩と遊歩──制度のはざまを歩く チョン・ユギョン 第7章 「故郷」をつくる――有田・人とうつわの400年史 山口祐香 本書のテーマをもっと考えるためのBOOK GUIDE 主要参考文献 初出一覧 山口祐香【著】 1993年佐賀県生まれ。九州大学韓国研究センター助教。2021年九州大学大学院地球社会統合科学府博士課程修了、博士(学術)。日本学術振興会特別研究員、ソウル大学日本研究所客員研究員、神戸大学国際協力研究科特命助教などを経て、現職。 専門は、戦後日韓関係史、在日コリアン史、市民運動史。最近は現代日韓におけるアートと多文化共生にも関心を広げている。主著として、『「発見」された朝鮮通信使―在日朝鮮人歴史家・辛基秀の歴史実践と戦後日本』(単著、法律文化社、2024年)など。 チョン・ユギョン/Jong YuGyong【著】 1991年兵庫県生まれ、福岡県在住。2014年に朝鮮大学校美術科を卒業。 2017年からソウルを拠点に作家活動を続けていたが、韓国の兵役法の改正により徴兵対象となったため、2020年末に日本へ帰国。作品では、朝鮮人の「移動」の歴史を検証し、恣意的に引かれる「境界線」や、戦争と文化との関係に問いを投げかけており、近年は有田焼や大村収容所の歴史を調査しながら作品を発表している。
-
GHOST / 大嶋宏和(ジーオーティー)
¥1,595
◎MoMoBooksイチオシの漫画家・大嶋宏和さんの新作。グラフィックノヴェル好きにも強く推したいです! 妻を亡くした元尾吾郎(36)、売れない芸人を続ける野村満(37)、離婚して祖母の家で暮らす富士夫岳志(34)。同じ工場で働く3人がなんとなくツルむのは年齢が近いという共通点でのみ。暗闇一歩手前の日々にブライトサイドはあるのか?
-
しゃべって、しゃべって、しゃべクラシー! 憲法・選挙・『虎に翼』 / カニクラブ、國本依伸(タバブックス)
¥1,870
目的のないおしゃべりこそ、民主主義の第一歩! しゃべクラシー=おしゃべり+民主主義(デモクラシー)。 『虎に翼』が縁でつながった、共に関西在住の女性3人おしゃべりユニットとベテラン弁護士。法について学び、選挙の行方を憂い、政治、社会、エンタメ、表現など、縦横無尽に語りまくった。緊急発行して話題となったZINE「参政党憲法をかわりに読んでみた。」を大拡張、読んだらきっとあのモヤモヤを誰かとしゃべりたくなる、元気と勇気と笑いにあふれた1冊。 【目次】 まえがきのおしゃべり NHK連続テレビ小説『虎に翼』をきっかけにつながったカニクラブと國本さん。出会いからZINEの制作、今日に至るまでのまえがきを4人の「おしゃべり」でお届けします。 1章 法でみんな、生き残ることはできる? 『虎に翼』をきっかけに、法や法律について考え始めたカニクラブ。日常にはびこる差別、終わらない戦争や虐殺などに立ち向かう「法」の力はないのだろうか? そんな疑問に答えてもらうべく、法のプロ・國本さんの元を訪ねました。 2章 参政党憲法をかわりに読んでみた。 2025年7月に行われた参議院選挙。「日本人ファースト」を掲げ、差別を煽動する参政党が躍進していることに、危機感を募らせていたカニクラブ。國本さんの呼びかけで、参政党の憲法草案を読み合い、緊急編のZINEを制作することに……。 3章 選挙後、これからどうする? さまざまな問題や課題を残したまま、参議院選挙が終了。この先も続くであろう不安定な状況の中で、ひとりの市民として、チームとして、マジョリティとして、どんなことをやっていけるのか。再び集い、ざっくばらんにおしゃべりしました。 おまけ タイトル案をカニクラした 本書のタイトル「しゃべクラシー」は、おしゃべり+民主主義(デモクラシー)から生まれた言葉です。どんな紆余曲折を経て、このタイトルにいきついたのか。4人で「カニクラする(長時間しゃべることを意味する)」ようすをお届けします。 ・カニクラブ 同級生の女3人のおしゃべりユニット。ドラマや映画などを出発点に、フェミニズム、仕事、政治などについて好き勝手に、真剣に、しゃべりあった内容を収録した鼎談型「おしゃべりZINE」を制作・販売する。 ・國本依伸 大阪弁護士会所属。2002年弁護士登録。2011年度日弁連海外派遣留学生(UCバークレー)。現在は大阪市内にてクニモト法律事務所を開業するとともに保育園理事長を兼務。 編集 浪花朱音 装丁 小松洋子 装画 金 明和 四六判・並製・192ページ
-
生活史の方法 ——人生を聞いて書く / 岸政彦(ちくま新書)
¥1,155
地域で、大学で、学校で、家族で、個人で。第一人者による、最良の手引き。 沖縄で30年にわたって聞き取り調査をしてきた著者が、「他者の話を聞く」ことについてまとめた一冊。 「ひとりの人間の、人生の語り」が生活史です。この本は、生活史を聞いて原稿を書き、冊子にまとめて作品とするための手引きとして書かれています。生活史の美しさ・おもしろさから、そのむずかしさ・暴力性まで、これまでの考えをまとめた一冊です。 「この本では、生活史を聞いて書くうえでの、技術的なことを含めたさまざまなことが書かれていますが、本書はいわゆる「マニュアル本」ではありません。……聞き取りをめぐるさまざまなことを書いて、それをきっかけに、他者の話を聞くということについて考えてみたい。この本はそんな本です。」 岸 政彦(きし・まさひこ) 1967年生まれ。社会学者。京都大学大学院文学研究科教授。研究テーマは沖縄、生活史、社会調査方法論。著作に『同化と他者化』『街の人生』『断片的なものの社会学』『ビニール傘』『マンゴーと手榴弾』『図書室』『リリアン』、共著に『地元を生きる』『生活史論集』、編著に『東京の生活史』『沖縄の生活史』『大阪の生活史』『調査する人生』など多数。 判型:新書判 ページ数:304
-
まちは言葉でできている / 西本千尋(柏書房)
¥1,980
「再開発の言葉」から、「足もとの言葉」へ。「まちづくり」現場の20年を記録した、抵抗の随筆集。 “行政やデベロッパー主導の「まちづくり」に「わたし」は居ない。町にはひとりぼっちで居られる場所も、ひそかに涙を流す場所も必要だ。” ――森まゆみさん “暮らしに対して、ひとりひとりが誠実であるとはどういうことか。こういうことだったのだ。” ――武田砂鉄さん “行政やデベロッパー主導の「まちづくり」に「わたし」は居ない。町にはひとりぼっちで居られる場所も、ひそかに涙を流す場所も必要だ。” ――森まゆみさん “暮らしに対して、ひとりひとりが誠実であるとはどういうことか。こういうことだったのだ。” ――武田砂鉄さん 都市計画の中で妊婦や子どもや障害者や女性や高齢者の存在が想定されていないこと、安全で快適な空間のためにホームレスの人々が排除されてきたこと、「公園まちづくり制度」の名の下に緑豊かな公園がなぜか消えていくこと、歴史ある町並みや昔ながらの銭湯を残すのがこんなにも難しいこと、「創造的復興」が被災者の生活再建に結びつかないこと―― 目の前にあるまちは、どのようにして今あるかたちになったのか。誰がそれに同意したのか。住民にまちを変えていく力はあるのか。「みんなのため」に進められる再開発の矛盾に目を凝らし、その暴力性に抗っていくために、専門家や行政の言葉ではなく、生活にねざした言葉でまちを語り直したい。 “すベて景色の前には「言葉」がある。わたしたちは「言葉」でまちをつくってきた。ある日突然、そこにブルドーザーが現れるのではない。必ず、その前に「言葉」がある。だからその「言葉」が変われば、ブルドーザーの現れ方も、立ち入り方も、去り方も変わり、まちのかたちも変わる。”(本文より) 「まちづくり」に関わるようになって約20年、現場で味わった絶望と反省を、各地で受け取った希望を、忘れないために記録する。ごくふつうの生活者たちに捧げる抵抗の随筆集。 【著者略歴】 西本千尋〈にしもと・ちひろ〉 1983年埼玉県川越市生まれ。NPO法人KOMPOSITION(居住支援法人)理事/JAM主宰。2003年から商店街、景観、観光、歴史的建築物、町並み保存、エリアマネジメント、居住支援等、各種まちづくりに携わる。跡見学園女子大学兼任講師。 判型:四六判 ページ数:216
-
私は私に私が日記をつけていることを秘密にしている / 古賀及子(晶文社)
¥1,870
「文学フリマ」が毎回入場者数を更新し、日記本がブームになり、自分でも日記を書きたい・noteで公開したい・ZINEにまとめたい……という人が増えているなか、日記エッセイストの第一人者が、日記を書く際の独自の経験知と秘密を大公開。その実践例としての日記もあわせて収録。日記を読みたい人にも、書きたい人にも、いますぐ役立つアイデアと実例が満載の、これからの日記作家に捧ぐメタ日記エッセイ。 「これから私は日記について書きます。これまであちこちに書いたり、お話ししたりしてきた、日記について私なりに思うことを、ほんの少しですが、ここにまとめます。/日記は人それぞれに方法があって、方針があって、ロマンがあるものです。ここに書いたことは、すべて、単なる私の考えでありやり方ですから、どうかその点ご了承ください。てんで勝手に書けるのが、日記のよさのひとつです。」(本文より) 【目次】 1 私は私に私が日記をつけていることを秘密にしている おばけは怖いけど、私はこれから、日記について書きます/文ではなく、日記を書こうと決めた/かけがえなさというのは、思いがけなさのなかにあるんじゃないか/前日の景色を観察するためのメモ/日記は、書くだけ、あとは何もいらない/日記と秘密/毎日の日記、よりぬく日記、編集する日記/日記で世界を作る/生きた昨日を、ただ思い出す 2 私が愛するあなたの凡庸のすべて 私が愛するあなたの凡庸のすべて/互いにとっての静けさとなれ/明日が誕生日でないのが信じられない/あずかり知らぬ無限/見るべきは屋根/コツは地上に出ないこと/元気な体の私の隠喩/押すと実現するボタン/人間の味方/欲しいものは無い、有るものが欲しい 3 じゃがりこを買う人だけが私にとってかわいい、なんだこの感情は 餅をみちぎる威力を応用し/まだ出す力を持っている/なんだかいつも、これ以上着るものがないし脱ぐものもない気持ちだ/服の似合わなさの絶望をすくう/50メートルって「走」じゃないか/世界が変わる、ここが地点だ/うどんにおなり/地金は売らずにまた会おう/遠くの楽しさはいつもすこし悲しい/てっきりそれが終わりの合図だと/時間の種類の豊富さを味わう/じゃがりこを買う人だけが私にとってかわいい、なんだこの感情は 点と点が線でつながっただけで脱出──あとがきにかえて ◇古賀及子(こが・ちかこ) 1979年東京生まれ。エッセイスト。著書に日記エッセイ集『ちょっと踊ったりすぐにかけだす』(素粒社)、『よくわからないまま輝き続ける世界と 気がつくための日記集』(大和書房)、エッセイ集『好きな食べ物がみつからない』(ポプラ社)、『巣鴨のお寿司屋で、帰れと言われたことがある』(幻冬舎)等がある。 四六判並製 280頁
-
コレクターズパレード 100人の収集生活(小鳥書房)
¥2,200
【ひとり暮らし100人の生活を綴ったエッセイ集 『ワンルームワンダーランド』に続く待望のシリーズ第2弾!】 2歳の男の子から大学生、主婦、会社員、本屋の店主、音楽家、DJ、茶道家、公認会計士、カウンセラーなど、年齢も職業も住む場所もさまざまな100人に「なにか集めているものはありますか?」と尋ねるところからスタート。 「つい集めてしまう」 「なぜか捨てられない」 「自然と集まっていた」 と、それぞれが好きなものをささやかに集めて暮らす、収集生活の楽しさや苦悩。 人知れず集めたコレクションと、それが置かれた部屋の写真をエッセイとともに収録しました。 ページをめくるたびにコレクションたちが次々と姿を現し、個性を纏って歩みを進めていく。 色も形も背景も異なるものたちが連なってゆく光景は、まるでパレードのよう。 「捨てられなくて溜まっていくもの」から「夢を引き継ぐもの」まで、 100人の暮らしに散りばめられた小さな「心のときめき」が、このパレードを彩ります。 「なんかいい」と感じるものたちによって、日々がちょっと豊かになる。 本書は、誰かの瞳を輝かせるものや、誰にも気づかれない日常の断片をすくいあげるコレクションを通して、“好き”に触れるよろこびと、自分を大切に思う感覚を呼び覚まします。 あなたのそばにある、「なんでもないけど、なんでもなくない」ものたち。 その存在もまた、ひそやかなコレクションなのかもしれません。 <収集しているもの> ブローチ、空き瓶、カセットテープ、スティックシュガー、お菓子の空き箱、日本酒のワンカップ、貝殻、ミニカー、埴輪、こけし、赤べこ、マニキュア、石、映画フライヤー、チケットの半券、食べ物販促シール、レシート、寝癖メモ、蚊の標本、レコード、マグネット ほか ■ 自分だけのなにかを好きでいる人の姿は、なんて眩しいんだろう。 誰かにとっては気に留めることもなく通り過ぎてしまうのに、別の誰かにとっては特別な意味を持つものがある。それは日常のいたるところに潜んでいて、ふいに光を放ってきて、こちらを魅了したりする。 ーー「はじめに」落合加依子(小鳥書房) ■ ページをめくるたびに知らない誰かが生活する姿が思い浮かぶ。 今日もどこかでそういう人が生きているのだと想像することは、何だか悪くない。 ーー解説「とあるコレクターの末路」花田菜々子(蟹ブックス店主) エッセイ:1 0 0 人の皆様 編集:落合加依子(小鳥書房)、佐藤友理 装丁・組版:佐藤友理 イラスト:にゆ 印刷・製本:シナノ書籍印刷株式会社 B6サイズ(188mm × 128mm)、並製、240頁、オールカラー
-
多聞さんのおかしなともだち 上 / トイ・ヨウ (KADOKAWA)
¥858
SOLD OUT
「きみが、自分が……人に、どんな名前で呼ばれたいんか、教えてやーー」 子どもん頃。 うちには母の友人達がしょっちゅう遊びに来とったけど、わたしはたぶん、この人に一番なついていた。 うちに遊びに来る、母と母の彼女の友人達には、女の人が好きな女の人も、男の人が好きな男の人も、男の人が好きな女の人も、どっちのことも好きな人も、どちらでもない恋人がおる人もおったけど。 多聞(たもん)みたいな人はーー。 いつだって一人で、口を開けば多聞にしか見えない友達のことばかり。 妖精、妖怪、ぼうちに魔女。 人間よりも、幽霊やおばけが好きな人。 こんな妙な大人は多聞だけ。 多聞、あのおかしな人だけだった。 ★ 他の人には見えない、人ならざるものとの会話を愉しむ、妙な大人、“多聞”。 レズビアンの母達と暮らし、誰を愛しても祝福される環境で、誰のことも恋愛として愛することができないと悩む、“内日(うつい)さん”。 そして、内日さんの呼びかけに応え出現したものの、自分の名前を忘れてしまった不思議な仔、“多聞の友達”。 クィアな家庭で育ったアロマンティックの子の、繊細な揺らぎ。 自分のことを、あなたのことを、わかっても、わからなくても、ここにいるという事実を語り合うことがきっとできる、ひと夏の不思議な、大阪の物語。
-
多聞さんのおかしなともだち 下 / トイ・ヨウ (KADOKAWA)
¥858
SOLD OUT
「ーーなあ、ほんまに誰かそこで、わたしの話、聞いてくれてたりする…?」 ーー名前を忘れてしまった多聞(たもん)の友達。 話し相手になってと頼んできたのに、 わたしにばかり質問してくるきみにーー… ずっと会いたかったような…… こんな気持ちになるのは、なんでなんやろう。 ★ 他の人には見えない、人ならざるものとの会話を楽しむ、妙な大人、“多聞”。 そして、二人の女と暮らしている子、“内日(うつい)さん”と、自分の名前を忘れてしまった不思議な仔、“多聞の友達”。 女性同士の恋愛を友情と呼ばれ、なかったことにされてきた親達と、本当のことをまだ話せないでいる、わたし達。 時代を超え、国境を越え、どこかにいて、どこかにいた、三人だったり四人だったり、恋人だったり家族だったりする、さまざまなセクシュアル・マイノリティの親子達。 人と人が、普通で、時には最悪で、でもハッピーで、退屈でありきたりな毎日の話を、誰にどんなふうに話せばいいのかわからないと思っていた話を、語り合う。 恋愛をする人も、しない人も、わからない人も、決めてしまいたくはない人も、ただ覚えていてほしい、忘れないでほしい、ひと夏の大阪の物語。
-
シモーヌ 2025年夏号 [特集1]食とジェンダー [特集2]フェミニストが知っておきたいセックスワーカー運動(サッフォー)
¥1,760
◎現代書館から刊行されていた『シモーヌ』が、茨城県つくば市にある「本と喫茶サッフォー」さんによってリニューアル復刊されました。 当店でも2F展示を行ってもらった小林美香さん https://momobooks.jp/RmX8KLhJ/2ylcBo03 の鼎談やSWASHメンバーの寄稿もあり!「セックスワーク イズ ワークやっちゅーねん」の展示 https://momobooks.jp/RmX8KLhJ/EKTEUqjt も少し載っています。 〈以下、版元HPより〉 シモーヌ・ド・ボーヴォワールの『第二の性』出版から70年後の2019年、「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」から一歩先を目指すために現代書館から創刊した『シモーヌ』が、分断と孤立を越えるコレクティブなフェミニストマガジンとしてサッフォーからリニューアル刊行! 【目次】 [特集1]食とジェンダー Miyabi Starr 〔漫画〕反響板をうちうちてートランスジェンダー男性主人公プロジェクトー 小林美香×中村佳太×山田亜紀子 〔鼎談〕広告から考える嗜好品とジェンダー 児玉美月 女たちの人生をより深く味わうための「食」表象 中村桃子 「女を食べる」に潜む性暴力の正当化:ことばがつくるセクシュアリティ 栗田隆子 病と食:自己責任と外見、あるいは健康 真鍋祐子 韓国弾劾デモにみる《縁食》の風景:広場で分かちあう「おむすび」の意味をめぐって 保井啓志 ジェンダー視点から見たイスラエルの「ヴィーガン・ナショナリズム」:肉食/菜食とユダヤ人の男性性 [特集2]フェミニストが知っておきたいセックスワーカー運動 青山薫 フェミニストだから主張する、セックスワークを「まともな仕事」に。 セックスワーク・アクティヴィストってどんな人?:SWASH代表げいまきまきさんインタビュー 聞き手・菊地夏野 ESWA(ヨーロッパセックスワーカー権利同盟)/firda people[ 訳] セックスワーカーのためのフェミニスト: 私たちのマニフェスト 菊地夏野+イムジョンファ 韓国におけるセックスワーカー運動の現在:スカーレットチャチャインタビュー イムジョンファ 〔解説〕韓国の「性売買特別法」の影響と運動 女工團結生産線&台北市公娼自救會 公娼制廃止に関するQ&A 〔資料〕売春防止法をめぐる抵抗 戸谷知尋 キャロル・リーに捧ぐ:「セックスワーク」に込められた政治的意味 [論文] キャリー・ハミルトン/山﨑燈里〔訳〕 セックス、労働、肉食:ヴィーガニズムというフェミニストの政治学 [連載] ヨヨミ ヘルシー♡メルシー 第1回 ドレヤ・クラーク MUSIC SPOTLIGHT VOL.1 SWASHのSLUTS GO EVERYWHERE Vol.1 yonie yonieの日記 EP.1 江戸川ズル ズルちゃんののりこえめし その1 We are HERE. We are EVERYWHERE. ① げいまきまきのワイルド・サイドを歩け! 第1回 四六判 ソフトカバー 160ページ
-
鶴橋SQUARE / 李信恵 編著(影書房)
¥2,090
◎大阪・関西でも未だにくり返されているヘイト街宣・ヘイトデモ。〝反差別カウンター〟としてそれぞれが路上に立ってきた歴史を聞き書き。今の時代だからこそ改めて振り返り、路上に立つ勇気を与えてくれる作品なので、ぜひ読んでほしいです! 8/24に大椿ゆうこさんと李信恵さんによるイベント、10/10にも安田浩一さんとのトークイベントを開催しますので、詳細はMoMoBooks HPをご覧ください。 〈以下、版元HPより〉 「差別主義者に居場所はない!!」 「レイシスト帰れ」 「私の友人に手を出すな」 「仲良くしようぜ」 「KANSAI AGAINST RACISM」 …… 大阪のコリアンタウン・鶴橋をはじめ、 関西各地でくり返されてきたヘイト街宣・ヘイトデモ。 これに抗議の意思をぶつけるため、どこからともなく集まってきた 〝反差別カウンター〟の人たち。 彼・彼女らは、 何をきっかけに、どんな思いで路上に立ったのか。 「鶴橋大虐殺」発言から10年。それぞれの涙と笑いの年月を、 自らもカウンターに立ち、「反ヘイトスピーチ裁判」でたたかってきた 李信恵氏による32名へのインタビューでふりかえる。 装画 : 金 明和 四六判 366ページ
-
ドキュメンタリーで知るせかい / 宇多丸、伴野智(リトルモア)
¥3,080
SOLD OUT
◎様々な社会問題を、血の通った「自分事」として考えさせる優れたドキュメンタリー作品31本を紹介解説。 〈以下、版元HPより〉 ライムスター宇多丸の映画本、 今回のテーマは「ドキュメンタリー」! 世界の時事に強くなれる ドキュメンタリー作品31本を語り尽くす! ガザの虐殺、クルド人弾圧、SDGsの現実、中国の急成長と葛藤、難民増加…… 目にし、耳にしながらも、「情報」として聞き流してしまいがちな日々のニュース。 優れたドキュメンタリーには、それらのニュースを立体的な「生身の声」として実感させる力がある。 他人事だと思っていた社会問題が、身近な、血の通った「自分事」に思えてくる。 「知る義務」がある。すでに我々は「当事者」だ。 - - - 宇多丸── こんな短時間で、こんな濃密な、こんな深い衝撃を受けられるメディアは、やはりドキュメンタリー以外にないんじゃないか… 伴野── 地獄のような所でも、多くの人々が懸命に生きている。そんな人間の姿を見つめながら「生きる意味」を考えることは、自分の生き方を見つける大きなヒントになると思います。 (それぞれ本文より) - - - ■各分野のエキスパートによる寄稿も! ・阿古智子〈発展する中国〉 ・岡真理〈パレスチナ/イスラエル問題〉 ・荻上チキ〈難民〉 ・勝又郁子〈クルド人とクルディスタン〉 ・宮永健太郎〈環境問題〉 知る・見る・考えることへの一歩を踏み出すために。 日ごろドキュメンタリーを観ない人にこそ読んでほしい。 現代人必修の書、誕生です! - - - 本書で紹介する作品は、すべて「アジアンドキュメンタリーズ」で配信中。 1本から、すぐ観られる! ドキュメンタリー映画専門の動画配信サービス 「アジアンドキュメンタリーズ」 https://asiandocs.co.jp/ 四六判 並製 432ページ
-
どこかで叫びが ニュー・ブラック・ホラー作品集 / ジョーダン・ピール=編、ハーン小路恭子=監訳、今井亮一/押野素子/柴田元幸/坪野圭介/福間恵=訳(フィルムアート社)
¥5,280
恐怖が、再定義される── 『ゲット・アウト』の監督・ジョーダン・ピールが送る 黒人作家たちによる恐怖の最前線 【ローカス賞、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞受賞/世界幻想文学大賞最終候補作】 『ゲット・アウト』『アス』『NOPE/ノープ』で世界に衝撃を与えた映画監督・脚本家ジョーダン・ピールが編集を手がける、全編書き下ろしによるブラック・ホラー短篇集。 本アンソロジーに収録された19の作品では、奴隷制度の記憶、公民権運動のトラウマ、移民としての分断されたアイデンティティ、そして現代社会の見えざる暴力など、超自然の恐怖だけでなく、アメリカ社会に深く根を下ろした不正義や歴史的暴力といった“現実”の〈悪夢〉が描かれる。 作家陣には、N・K・ジェミシン、ンネディ・オコラフォー、レベッカ・ローンホース、タナナリーヴ・ドゥーら国際的に高く評価される作家たちが名を連ね、新進気鋭の書き手も多数参加。また、ジョーダン・ピール自身による序文も収録されている。 ローカス賞、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞を受賞したほか、Esquire、CrimeReads、シカゴ公共図書館の「年間ベストブック」にも選出された。 また、英・ガーディアン紙は「今年最高のアンソロジーであるだけでなく、時代を超えて語り継がれる一冊」と絶賛している。 ブラック・ホラーの最前線を記録する、必読のアンソロジー。 あなたがまだ見ぬ恐怖が、ここにある── 私はホラーを、エンターテイメントを通じた浄化カタルシスだと考えている。それは自らの深奥にある痛みや恐怖と付き合うための方法なのだ――だが黒人にとってそれはおいそれとできることではないし、過去数十年遡っても、不可能だった。そもそも、物語が語られること自体がなかったからだ。 この小説集には19人の才気溢れる黒人作家たちが集い、それぞれの「沈んだ地」と秘密地下牢を披露してくれている。この作家たちの隣に名を連ねることはこの上なく光栄であり、誇りでもある。物語の形はさまざまだ──悪魔との舞踏に、もうひとつの現実をめぐるファンタジー、本物の、そして架空の怪物たち。それらは我々の心の内奥にある恐怖と欲望を生々しく映し出す想像の産物だ。そしてそれらは、忘れ去られることはない。 ──ジョーダン・ピール「序文」より抜粋 判型:A5判・上製 頁数:528頁
-
『愛と連帯 非正規労働者、国会へ』大椿 ゆうこ(地平社)
¥1,760
SOLD OUT
◎MoMoBooksは応援しています!表紙や中身のイラストは当店でも展示を行ってくれた https://momobooks.jp/RmX8KLhJ/sC7E1Mze アーティスト・アクティビストの金明和さん!! 8/24には刊行記念イベントも開催します。(配信アーカイブは9/7まで視聴可能。) https://momobooks.jp/RmX8KLhJ/HDwBj9hj 〈以下、版元HPより〉 働く人たちの使い捨てを許さない。 私は氷河期世代。非正規の仕事で生きてきた。 解雇され闘った経験を経て、国会議員に。 あなたと一緒に闘う、ブレない政治家のストーリー。 <著者プロフィール> 大椿 ゆうこ (オオツバキ ユウコ) (著) 参議院議員。厚生労働委員会所属。社会民主党副党首。就職氷河期世代で、30代まで非正規雇用を掛け持ちして生計を立てる。2006年より関西学院大学で障害のある学生の就学支援事業に携わるが、2010年、上限4年の有期雇用を理由に雇い止め解雇となる。継続雇用を求め3年9か月闘うが、原職復帰は叶わず。2011年から大阪教育合同労働組合の専従役員として、主に非正規労働者の権利獲得のために活動。2016年、同労組執行委員長。2023年4月、繰上げ当選で国会議員に。 岡山県高梁市出身。実家は兼業農家。家族はカタルーニャ人のつれあいと保護猫2匹。 <もくじ> 第1章 解雇された非正規労働者、国会へ 1 就職氷河期時代に社会へ――「失われた世代」を生きる 2 非正規労働という不条理――有期雇用で雇い止め 3 生きていた労働組合――次の勝利のために 4 労働を変え、社会を変える――政治活動、3回の落選 5 国会議員に――労働問題にこだわる 第2章 女性の声を政治へ 1 女性が政治家になるということ 2 シングル・非正規の女性はこの社会をどう生きのびるか 3 少子化問題と就職氷河期世代――非正規雇用の入口規制を 第3章 権利のための闘い 1 維新政治と労働組合バッシングがもたらしたもの 2 弾圧される労働組合――関西生コン事件 3 戦後責任を果たす――長生炭鉱の歴史を刻む 4 すべての人の人権が守られる社会へ 対談 藤川瑞穂×大椿ゆうこ 労働者を使い捨てにする企業と闘う 和田靜香×大椿ゆうこ シングル・非正規女性の生きづらさと政治 寸法 : 四六判 ページ数 : 208ページ
-
沖縄の生活史 / 監修 石原昌家、監修 岸政彦、編 沖縄タイムス社(みすず書房)
¥4,950
2022年5月に、日本復帰50年を迎えた沖縄。これを節目として、沖縄の歴史とともに生きてきた人々の来し方を聞き取って文章に残そう、という沖縄タイムス社の企画が結実したのが本書である。 沖縄タイムス紙上での募集に応えた「聞き手」たちが、それぞれ思い思いの「語り手」を選び、その人生を聞き取って生活史として仕上げた。紙上に、およそ半年以上にわたって連載された85篇に加え、新聞には掲載しなかった15篇を合わせた、計100篇の生活史がここにまとめられている。巻頭と巻末にはそれぞれ、監修者のまえがき、あとがきを収録する。 「私は本書のどの語りの、どの部分を読んでも、深い感慨と感動をおぼえます。ここには語り手たちが経験した「沖縄の戦後」が、確かに存在するのです」 (岸政彦、まえがきより) 「数多くの沖縄の人たちから聞き取りしてきたにもかかわらず、庶民の生活の奥深くに分け入り、心の襞に触れるところまでは、聞き取りはしていなかったか、と思わざるを得ない語りにも出会えました」 (石原昌家、あとがきより) 判型 A5判 頁数 880頁
-
写真集 釜石吞ん兵衛横丁ー東日本大震災で消滅した飲み屋街の記録と歴史ー / 佐々木貴範(無明舎出版)
¥3,080
戦後(昭32)25軒の屋台からスタートし、釜石名物として名をはせたものの、あの震災で消滅。 震災後に復興した仮設店舗も2018年(平成30)、その歴史に幕を下ろした。 消える地域の文化と歴史を撮り続けた写真記録! 【目次】 釜石吞ん兵衛横丁 東日本大震災前の釜石呑ん兵衛横丁 東日本大震災での被災 仮設呑ん兵衛横丁の誕生 新しい飲食店街の誕生 仮設呑ん兵衛横丁の閉店 「お恵」と「とんぼ」の再開 取材ノートから 呑ん兵衛横丁成立の背景と経緯 呑ん兵衛横丁成立の表記について 呑ん兵衛横丁誕生に関わりのある新聞記事 店舗の変遷 「公民連携による飲食店街再建プロジェクト」と「自主再建計画」の顛末 釜石呑ん兵衛横丁 年表 あとがき 一文化としての釜石呑ん兵衛横丁一
-
男性のいない美術史 女性芸術家たちが描くもうひとつの物語 THE STORY OF ART WITHOUT MEN / ケイティ・ヘッセル 著、鮫島 圭代 翻訳、福岡南央子 装幀(パイ インターナショナル)
¥7,480
SOLD OUT
あなたは女性芸術家を何人知っていますか? これまで「男性中心」だった美術史の影に隠され、評価されてこなかった女性芸術家たちに焦点を当て、ルネサンスから現代まで、300点を超えるカラー作品とともに、語られることのなかった芸術の物語を紐解いていきます。ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー。ウォーターストーンズ・ブック・オブ・ザ・イヤー2022受賞。 ※本書のタイトルは、男性の芸術家中心で構成される従来の美術史書で欠けていた部分を補完したいという原作者の意図を尊重し、原題「THE STORY OF ART WITHOUT MEN」を直訳表記しています。 【掲載アーティスト例(順不同)】葛飾応為 / ルース・アサワ / 田中敦子 / 石内都 / 草間彌生 / オノ・ヨーコ / ヒルマ・アフ・クリント / ベルト・モリゾ / メアリー・カサット / マリー・ローランサン / タマラ・ド・レンピッカ / リー・ミラー / フリーダ・カーロ / ジョージア・オキーフ / ジョアン・ミッチェル / ポーリン・ボティ / フェイス・リンゴールド / ニキ・ド・サンファル / ルイーズ・ブルジョワ / ジュディ・シカゴ / ゲリラ・ガールズ / バーバラ・クルーガー / シンディ・シャーマン / ナン・ゴールディン / ピピロッティ・リスト / ソニア・ドローネー / アニ・アルバース / メレット・オッペンハイム / エヴァ・ヘス / マリーナ・アブラモヴィッチ / エミリー・カーマ・イングワリィ / シリン・ネシャット / マルレーネ・デュマス / トレイシー・エミン / カラ・ウォーカー 全250人以上掲載 Format:B5判変型 Size:240×161mm Pages:512Pages(Full Color) Binding:ハードカバー
-
Tシャツの日本史 / 高畑鍬名(中央公論新社)
¥2,200
裾さばきの歴史的変遷から、日本の若者を覆う同調圧力の謎を解く。 古来、Tシャツはずっと日本史の死角にあった。 日本の若者たちは、まわりの友達と同じようにTシャツの裾をさばかないと「みっともない」「ださい」と言われ、笑われてしまう世界に生きてきた。 しかし、未だかつてインとアウトの変遷や構造を説明する者はいなかった。 だから考えたいのだ。この呪いを解く方法を。 Tシャツの日本史を書くこと。 それは日本で発生した同調圧力の遍歴を書き留めることだ――
-
太郎とTARO / 大白小蟹 (リイド社)
¥4,950
新たな戦争の時代に突入した今、次世代のマンガ家が絵で語る戦争の寓話。 「沖縄の歴史や、沖縄戦を本書に重ねて読む人もいるだろう。 あるいは、現在拡大しつつある戦禍を想起する人もいるかもしれない。 文字のない表現は、物語の解釈や意味づけを読者へ委ね、さまざまな解釈を可能にする表現である。 本書は人々に、対立と戦争について、それぞれの方法で考えさせる機会をもたらすだろう。」 山本美希(マンガ家・筑波大学准教授) デビュー単行本『うみべのストーブ 大白小蟹短編集』にて宝島社「このマンガがすごい!2024」オンナ編1位にランクインし各所から注目を集める話題の新鋭・大白小蟹。その原点となる作品を書籍化! ●あらすじ むかしむかしあるところに「赤い人」と「青い人」はそれぞれ平和に暮らしていた。 その日、波はいつものようにおだやかだった。 しかし、彼らは最悪の形で出会ってしまい…? ●見どころ 本作『太郎とTARO』はオールカラー・サイレント・コミックであり、 外函から取り出すと『太郎』と『TARO』の2冊の本が入っています。 ⽂字無しで絵とコマで表現することで解釈の余地が⽣まれ、 「戦争」や「対⽴」について読み⼿それぞれが経験に照らし合わせ考えを 巡らすことができるような普遍的な寓話になるよう制作されました。 絵本のような親しみやすいタッチで『太郎』と『TARO』の2つの視点で描かれた 2つの本は私たちにごく当たり前でとても大切なことに気づかせてくれます。 暴力の始まる地点を捉えたことばのない絵物語を、永く読み継ぎ、大切な人に手渡したい2冊セットの上製本を外函入りでお届けします。
-
しんきらり / やまだ 紫(光文社文庫)
¥880
自分を手に入れた。なんて大 きな開放だろう。 山川ちはるは、会社勤めの夫と二人の娘と暮らす専業主婦だ。他人から見たら平凡かもしれない、子育てと家事に追われる毎日の中で、ちはるは様々な思いを抱き、感動している。子供の成長に驚き、夫の無理解に震え、そしてやがて自分自身を発見する――。雑誌「ガロ」で連載、主人公の精神を瑞々しく描き出し 、読者からの強い共感を得て読み継がれてきた感動の名作。 360ページ
-
となりのとらんす少女ちゃん / とら少(在野社)
¥1,815
◎ついカテゴライズされたイメージにとらわれたり、自分が解釈しやすい目線で物事を見てしまいがちだけど、とら少さんの作品はそれだけではないもっと複雑な現実の中で揺れ動く登場人物たちの繊細なゆらぎを描き出していて、ふわっと視界を明るくしてくれました。 当店でも様々なジェンダー・セクシャリティ関連の書籍を扱っていますが、その棚をさらに豊かにしてくれている作品です。 この作品を多くの人に届けられるよう、本屋としてお手伝いができたらと思います。 〈以下、版元HPより〉 トランスジェンダー当事者が確かに刻む、現代の「トランスガール」の肖像。 新鋭・とら少、渾身のデビュー作! SNS上でトランスジェンダーが登場する作品を数多く発表してきた作者・とら少。当事者だからこそ描けるリアリティと、人間の深部に肉薄する力強い筆致を特徴とし、セクシャルマイノリティ当事者を中心に共感の輪を広げてきた。 一時は漫画制作を断念しようとしていたものの、単行本化を熱望する声にこたえ活動を再開。出版にむけて実施されたクラウドファンディングでは開始初日に目標額を達成するなど、いま注目を集める漫画家のひとりである。 大きな反響を呼んだ3篇のリメイクに書き下ろし1篇を加え、満を持して商業デビュー! これは、いつかきっとすれ違った、わたしたちのとなりに生きる「とらんすちゃん」の物語。 収録作品 1.退廃的なとらんすちゃん 2.弟はとらんすちゃん 3.未来から来たとらんすちゃん 4.似つかわしいとらんすちゃん A5版/192p 装丁:はちみつちひろ(小月デザイン) 印刷・製本:藤原印刷株式会社 <帯文> 虹色に光ることもなく、ピンクとブルーに別れることもない、トランスの生を一度は満たす灰色の感情がただよっている。 ——高井ゆと里(倫理学者『トランスジェンダー入門』) 「わかりやすい物語」の先にある、現実のトランスジェンダーのリアリティに触れる、新鮮な経験。 ——三木那由他(哲学者『言葉の展望台』)
